廣嶋玲子『十年屋』感想|親子で全巻読んだ時の魔法ファンタジー

読書|本の感想

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子どもを読書好きにしたくて、せっせと図書館に連れて行っていた頃のこと。

当時、子どもたちの周りでは「銭天堂」が大流行。親子で読んでみたのですが、面白いけれどそこまで夢中になるでもなく……。

そんなとき、本棚でとなりに並んでいた「十年屋」を、試しに息子に読ませてみました。

これが大当たりでした。

息子が読んで、私が読んで、娘も読んで——3人全員が大絶賛。既刊も外伝も全部読んで、今も新作を心待ちにしている、我が家の大好きシリーズです。

📚 『十年屋』はどんな本?

著者廣嶋玲子
挿絵佐竹美保
出版社静山社
発行年2018年
対象小学生〜大人
ジャンルファンタジー短編集

「銭天堂」シリーズで知られる廣嶋玲子さんによる、温かくてちょっぴり怖い短編集です。

1話が短いので、隙間時間にさくっと読めます。でも読み終わったあとに、しばらく余韻が残る——そんな不思議な読後感のある本です。

「十年屋」ってどんなお店?

「捨てるに捨てられない、でも手元に置いておけないもの」を、10年間、魔法で大切に預かってくれる不思議なお店。

十年屋のルール

預かり期間10年間
対価寿命1年分
引き取り期限10年後
期限を過ぎたら十年屋の所有物に

お店の中には、誰かにとってかけがえのないものたちが所狭しと並んでいます。

店主は、若いのにどこか古風な雰囲気の男性。そして従業員は、二足歩行でお料理上手な猫のカラシちゃん(とても可愛いです!)。

「十年屋への招待カード」は、必要な人のもとにだけ届く仕組み。カードを開いた瞬間、不思議なお店へと導かれます。

✨ 親子で読んで、みんな大絶賛だったわけ

1話が短いのに、どの話も心に訴えかけてくる。読んでいると、じんわりと温かくなる話もあれば、少しゾクッとする話もあります。教訓めいた話も多いけれど、押しつけがましくなくて、読み終わったあとに自然と「大切なものって何だろう」と考えさせられます。

息子のお気に入りは、外伝「十年屋と魔法街の住人たち」に登場するいろどり屋のテンのお話。

私が読むたびに泣いてしまうのが、「十年屋3」の3話目「頑固親父のスープ」。父親の息子への愛の深さが描かれていて、何度読んでも涙が止まりません。

普段は本をあまり読まない息子も、このシリーズの新作だけは嫌がらずに読む。それだけで、この本の力がわかる気がします。

シリーズも外伝も全部読んで、最新刊「真夜中のお楽しみ」も楽しみました。まだまだ続いてほしいシリーズです。

「寿命1年と引き換えに預けたいもの」——考えてみた

あなたは、寿命1年と引き換えにしてでも、10年後まで預けておきたいものがありますか?

正直、私には思い浮かびませんでした。

もしかしたら、寿命って思っているより短いかもしれない。仮にあと1年だったら? 2年しかなかったら?

そう考えると、1年を差し出すことがどれほど怖いことか、実感できます。まだ子どもたちが巣立つまでは生きていたい。そう思うと、「寿命1年」という対価の重さが、ずしんと伝わってきました。

だからこそ、物語の登場人物たちがそれでも「預けたい」と思うものの意味が、より深く刺さってきます。

🔄 久しぶりに読み返してみて

数年ぶりに読んでみましたが——やっぱり泣きました(涙腺が弱いので)。

感じ方はほとんど変わりませんでした。まだ数年しか経っていないからかな。10年後に読んだら、また違う感動があるかもしれません。その頃には子どもたちも大人になっているはずで、一緒に感想を話せたらいいな、と思っています。

こんな人におすすめ

👑 こんな人におすすめ

  • 廣嶋玲子さんの作品が好きな人(銭天堂よりこっちが好きかも!)
  • 子どもと一緒に楽しめる本を探している人
  • 1話完結の短編集が読みたい人
  • 感動して泣ける本が読みたい人
  • 普段本を読まない子どもへのプレゼントを探している人

まとめ

『十年屋』は、1話が短いのに心に刺さる話ばかり。

子ども向けのファンタジーでありながら、大人が読んでも「大切なもの」「時間の重さ」「家族の愛」を深く考えさせられます。我が家では全員が大絶賛した、数少ない「家族全員のお気に入り」です。

普段本を読まないお子さんにも、ぜひ手渡してみてください。きっと夢中になると思います。

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