親子3代でハマった『宝石商リチャード氏の謎鑑定』、完結まで読んで

読書|本の感想

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読み終えた瞬間、本を閉じてしばらく放心していました。10年続いたシリーズが、まさかこんなに温かい形で終わるなんて。

きっかけは娘でした。気づけば家族みんなを巻き込んで、親子3代で読み終えていました。『宝石商リチャード氏の謎鑑定』、そして2025年11月に発売された最終巻『比翼のマグル・ガル』まで読み終えた今の気持ちを、記録しておこうと思います。

娘がきっかけで、気づけば親子3代にハマっていた

最初は娘が集め始めたシリーズを、横から見ていただけでした。

それがいつの間にか夢中になり、気づけばわたしが率先して全巻を買いそろえていました。公式ファンブック『エトランジェの宝石箱』も購入し、2026年10月に発売される『エトランジェの宝箱2』もすぐに予約済み。発売日を指折り数えて待っています。

さらに実母にも回したところ、今では娘・わたし・実母の3世代で読んでいます。本好きな家族だからこその巻き込まれ方だったと思いますが、同じ作品について親子で感想を言い合えるのは、なかなかない経験でした。

▼ ファンブックも一緒に

宝石商リチャード氏の謎鑑定 既刊本の写真
お気に入りの既刊本たち

💡『宝石商リチャード氏の謎鑑定』基本情報

  • 著者:辻村七子/装画:雪広うたこ
  • レーベル:集英社オレンジ文庫
  • 本編15巻+短編集2冊
  • 刊行期間:2015年12月〜2025年11月(完結)

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』のあらすじ

宝石のイメージ写真

物語は、酔っ払いに絡まれていた宝石商リチャードを、大学生の正義が助けたことから始まります。

リチャードは頭脳明晰で、十か国語以上を操る、想像を絶する美男。銀座の宝石店「エトランジェ」を営みながら、世界中を飛び回るビジネスマンでもあります。

正義はもともと公務員を目指す真面目な大学生でした。この出会いをきっかけに宝石店「エトランジェ」に出入りするようになり、やがてリチャードのそばで生きる道を選んでいきます。

物語は大きく3部構成です。第1部は、銀座のエトランジェに持ち込まれる宝石にまつわる謎を、リチャードが解き明かしていく連作短編。第2部は舞台が世界に広がり、リチャードの過去やクレアモント家の因縁が描かれる長編。第3部は、正義の弟・みのるが加わり、3人での暮らしが始まります。

10年かけて少しずつ関係を深めていく2人を、じっくり見届けられるシリーズです。

▼ はじめての方はこちらから(1巻)

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最終巻『比翼のマグル・ガル』の感想|清々しい読後感

⚠️ ここから先は最終巻のネタバレを含みます

未読の方はご注意ください。

最終巻を読み終えて、まず感じたのは「清々しさ」でした。

「あとはご想像にお任せします」というような、宙ぶらりんの終わり方ではありません。きちんと着地点が示されていて、読み終えたあとの気持ちがすっきりしていました。

正義は10年かけて、リチャードの隣に立つにふさわしい素敵な、誰もが見惚れるような大人の男性へと成長していきます。

物語の終盤、正義が事故に遭う場面があります。いつも冷静なリチャードがそこで大きく動揺する姿に、わたしは涙してしまいました。

その一方で、結婚式の場面は思わず笑ってしまうくらい楽しい雰囲気。びっくりする展開ではあったものの、登場人物みんなが幸せそうで、見ていてとても良かったです。

「ずっと一緒にいる関係なんだろうな」とは思っていましたが、こういう形でのゴールだったのかと、納得できる終わり方でした。二人のこれからを想像できる余地も残っていて、幸せな妄想が止まりません。

ここまで丁寧に物語を紡いでくれた辻村七子先生に、最大の感謝を伝えたいです。

結婚後のリチャードと正義の関係

最終巻で二人は結婚という形を選びますが、関係性の描き方は最後まで控えめでした。

ハグをする場面はあっても、キスすらまともにできない様子。正義には幼いころの出来事がきっかけになっている事情があり、そこから一歩を踏み出すことが簡単ではないようなのです。

それに対してリチャードは「焦らなくていい、いつまででも待てる」というスタンスを崩しません。二人でいるだけで幸せだから、というのがリチャードの考え方でした。

いつか正義が心から望んで、幸せな気持ちで結ばれる日が来たらいいなと思います。

同性同士の関係ということもあり、最初は親子で読むのに身構える部分もありました。でも実際の描写はとても抑制的で、だからこそ娘や母と一緒に読んでいても、気まずさを感じることはありませんでした。

元々そういう性質だったというより、お互いを必要とし、尊敬し、人間として愛しているからこそ、時間をかけて一緒にいる道を選んだ。そんなふうに受け止めています。

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』登場人物紹介

初めて読む方のために、印象に残っているキャラクターを簡単に紹介します。

リチャード・ラナシンハ・ドヴルピアン

銀座で宝石店「エトランジェ」を営む、イギリス出身の宝石商。頭脳明晰で十か国語以上を操る、想像を絶する美男です。正義が作るプリンが大好物で、彼の真っすぐな言葉に照れている姿が悶絶するほど可愛いです。

正義の作るプリンのイメージ
正義の作るプリンは、こんな素朴な味だったのかもしれません(イメージ)

中田正義(なかた せいぎ)

物語の主人公。もともと公務員を目指す大学生でしたが、やがてリチャードのそばで生きる道を選びます。正義感が強くまっすぐな性格ですが、思いが先に口から出てしまい、周りを混乱させてしまうこともあります。

みのる

正義の腹違いの弟。物語が進むにつれて、頼もしい大人へと成長していきます。

ヴィンセント梁(りょう)

謎多き香港人で、かつてリチャードの同僚としてアシスタントを務めていた人物。K-POPアイドルのような容姿の持ち主です。

裏切り者のように振る舞うこともあるのに、なぜか正義を助けてくれる人。感情はあまり表に出さないタイプですが、なんだかんだでとても優しく、リチャードのことが大好きなのが伝わってきます。素直になれないところも含めて、お気に入りのキャラクターです。

ジェフリー・クレアモント

リチャードのいとこで、クレアモント伯爵家の次男。アメリカで一族が営む投資会社の役員を務める金融タレントで、いつもどこか張りついたような笑みを浮かべています。家族思いな一方、リチャードとは複雑な関係を抱えています。

シャウル

リチャードの雇用主であり、師匠のような存在。スリランカで出会い、リチャードの才能を見いだしました。かなり癖のある人物です。

谷本さん(谷本晶子)

正義と同じ大学の同級生。正義が大好きだった女の子で、良き相談相手でもありました。

真鈴ちゃん

正義に一目惚れした中学生の女の子。あの完璧なリチャードに真っ向勝負を挑むくらい、頑張り屋でまっすぐな性格でした。二人でダンスをする場面はハラハラしましたが、だめだとわかっていてもしっかり思いを告げて、しっかり振られていたのが印象的です。

好きだったエピソード3選

全15巻を読み終えて、脱落しそうになった巻はありませんでした。

その中でも特に好きだったのが、次の3つのエピソードです。

『夏の庭と黄金の愛』

リチャードの母・カトリーヌに招かれて、リチャードと正義が南フランスのプロヴァンスを訪れる話

『邂逅の珊瑚(サーンウー)』

正義がヴィンセントに会うために香港へ向かう話。ヴィンセントはこの巻に限らず、物語のあちこちにちょこちょこ登場して、いい味を出してくれる存在です

『導きのラピスラズリ』

エトランジェを閉めて姿を消してしまったリチャードを追って、正義がシャウルからの手がかりを頼りにイギリスへ飛ぶ話。リチャードの生家にまつわる、人生を狂わせた指輪をめぐるエピソードで、正義が身を削ってリチャードを助けようとする展開が印象的でした

本編以外にも外伝や短編集が面白く、リチャードの料理の場面や、モルディブが舞台になる話も記憶に残っています。作画がとにかく美しく、表紙を眺めているだけで幸せな気持ちになれる作品でした。

全15巻という長さなので、通勤中や家事の合間に聴けるオーディブル(耳で聴く読書)で追いかける方法もあります。まとまった時間が取れない人には特におすすめです。

🎧 長い物語を耳で楽しむなら

Amazonのオーディブル(Audible)なら、宝石商リチャード氏の謎鑑定のような長編もプロのナレーションで楽しめます。無料体験から試せるので、紙の本と合わせて使うのもおすすめです。

Audible(オーディブル)

▼ 漫画版(コミカライズ)もおすすめです

漫画なら、リチャードと正義の表情や「エトランジェ」の雰囲気が絵でそのまま伝わってきます。気になった方は、まず1話だけ試し読みしてみませんか?

宝石商リチャード氏の謎鑑定を1話だけ試し読みする

『エトランジェの宝箱2』を読んだ感想

2026年10月19日に発売された短編集『エトランジェの宝箱2』を、さっそく読み終えました。

ページ数はかなりのボリュームでしたが、本のサイズ自体は思っていたより小さめ。公式ファンブック『エトランジェの宝石箱』と同じくらいの大きさを想像していたので、少し意外でした。それでも中身はとても見応えがあって、満足感の高い一冊でした。

収録されているどの話も面白く、中でも特に好きだったのは次の4つです。

  • 『四人の集い』
  • 『真砂なす』
  • 『正義の味方を待ちながら』
  • 『優先順位』(書き下ろし新作3編のひとつ)

そして何より、イラストギャラリーの美しさは特筆もの。眺めているだけで幸せな気持ちになれました。

宝石商リチャード氏の謎鑑定 ファンブックとエトランジェの宝箱2の写真

まとめ

10年続いたシリーズを、娘・わたし・実母の3世代で読み終えました。

  • きっかけは娘。気づけば家族みんなを巻き込んでハマっていた
  • 最終巻は宙ぶらりんでなく、清々しい読後感だった
  • 関係性の描き方が抑制的だったからこそ、親子で読んでも気まずくなかった
  • 好きなキャラクターはリチャード。正義とのやり取りが可愛い

長く付き合えるシリーズを探している方や、家族で感想を言い合えるような作品を探している方には、自信を持っておすすめできます。静かな関係性の物語が好きな方にも、きっと合うはずです。

ちなみに、2026年10月19日には書き下ろし新作3編を含む全25編収録の短編集『エトランジェの宝箱2』が発売され、わたしも発売日にすぐ読み終えました。

何年もかけて追いかけられるようなシリーズがお好きなら、八咫烏シリーズを読む順番と全巻あらすじや、十二国記の読む順番ガイド、本好きの下剋上 第4期の感想もおすすめです。

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