『さよなら!行き当たりばったり人生!』感想|笑えるお金のマンガエッセイ

読書|本の感想

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砥石が6個出てきた、という話で声を出して笑いました。

汚部屋で片付けができないから、必要なものがどこにあるかわからない。いざ使おうとして見つからないから買う。そうしたら前のが出てきた——その繰り返しで6個。ハサミとか日用品のストックとか、「あれ、また買ってた」って経験、あるある、と思いながら読みました。流石に6個ある物はうちにはないけれど。

本の基本情報

著者の真船佳奈さんは、テレビ東京で働く兼業マンガ家。AD時代の体験を描いた『オンエアできない!』はアニメ化もされた人気作です。子育て世代からの共感を集める作品を描き続けていて、「ペアレンティングアワード2025」を受賞されています。

著者真船佳奈(テレビ東京勤務の兼業マンガ家)
出版社KADOKAWA(2026年3月発売)
形式マンガエッセイ/A5判・224ページ
価格1,650円(税込)

マンガだから読みやすい

「お金の本」と聞くと少し身構えてしまうけれど、この本はマンガエッセイなので文字だらけではありません。サクサク読めて、気がついたら最後まで読んでいた、という感じです。

内容は4章構成になっていて、お金・住宅購入・片付け・暮らし全般をひと通り扱っています。各章にFPや整理収納コンサルタント、料理家などの専門家コラムも入っているので、エッセイとしての読み物だけでなく、情報としてもきちんとしています。

あらすじ|どんな本?

真船佳奈さんの『さよなら!行き当たりばったり人生!』は、東京在住の共働き夫婦が、行き当たりばったりな暮らしを見直していく記録です。

夫婦合わせるとかなりの収入があるパワーカップルなのに、貯金がない。なんとなく不安になってFPさんに相談したら、「生涯で1億3千万円の負債を抱える計算です」と言われた——そんな衝撃の一言から話が動いていきます。

ハウツー本というよりは、エッセイに近い読み口です。ギャグが随所に散りばめられていて、「お金の本を読んでいる」という気の重さがない。

章ごとの内容をざっくりまとめると、こんな感じです。

内容
第1章 気づけば不安だらけ行き当たりばったりハウスの日常と、散らかった家とお金の関係
第2章 お金&マイホーム編FPに聞くお金の立て直しと、夫婦のマイホーム探し
第3章 お片付け&整理編整理収納のプロに聞く「片付けてもすぐ散らかる」の解決法
第4章 暮らしレベルアップ編料理・服、そして「新しい人生」へ

状況は違っても、悩みは一緒だった

正直、うちとは状況がかなり違います。家賃20万超え、シッターを頼める余裕のある都内在住。わたしは地方在住で、共働き時代もそこまでの収入はありませんでした。

でも、読みながら「あ、これわかる」と思うことが何度もありました。

日々が忙しくて、家のことが後回しになる感覚。「なんとなく不安だけど、何から手をつければいいかわからない」という感じ。

トイレットペーパーのストックを置く場所がなくて、窓辺に積み上げたそうです。カーテンを閉めれば部屋からは見えない。でも外から見上げるとまるわかりで、遊びに来た友達に「すぐわかったよ。いい表札だね」と言われた——このくだりで笑いが止まりませんでした。

名脇役は、作者のお母さん

この本、実は作者のお母さんがすごいんです。

片付けが苦手な作者とは正反対の、綺麗好きで節約上手なスーパーママ。幼少期から「紛失の才能」を発揮する娘に、長年言い聞かせてきたそうです。当の娘は「お手伝いさんを雇えるくらいビッグになるから放っておいて!」と豪語していたのに、入ったそばからお金を使ってしまうのでいつも金欠。結局、お母さんが「出張ルンバ」として片付けに呼び出されるという顛末に笑いました。

しかもこのお母さん、娘の家まで電車代節約のために自転車で片道1時間。靭帯を切っても通い続けたという執念の人です。

そんなお母さんの口癖が、「汚い家にお金なんて貯まるわけないよ!ものの把握ができない人に、お金の管理なんてできるはずないんだからね!」。激しく同意です。でも、これがなかなか難しいんですよね。

すずらん
すずらん
うちの娘の部屋も汚部屋……。お母さんの気持ちが痛いほどわかる。

わたし自身も汚部屋出身ですが、今の家は割と綺麗を保てていると思います。それでも娘の部屋を見ると、このお母さんと同じ気持ちになります。

いちばん刺さった専門家コラムは本多さん

専門家コラムはどれも参考になりましたが、わたしに一番刺さったのは整理収納のプロ・本多さんの回でした。

わたしは一時期ミニマリストを目指して、かなりものを減らしたことがあります。少しだけ家族にも強要してしまって、反省したことも。そして今になって、手放したことを後悔しているものもあるんです。

だから「迷ったなら寝かせる」「無理してものを減らすことはおすすめしない」「普段の生活がうまく回れば、ものの量は関係ない」という本多さんの言葉に救われました。不要なものをとっておく必要はないけれど、捨てるのを躊躇してしまうものは、無理して処分しなくていい。

お金のプロ・風呂内さんの回は、正直耳が痛かったです。子どもがいる家庭の話で「子どもが0〜3歳の間は、できたら仕事を辞めないこと」「できる限りキャリアを止めず、貯蓄を減らさないことを目標にして、後半で回収する」。……我が家はそこを乗り越えたのに、今は専業主婦です。

共働き時代に読みたかった

この本を読みながら、ずっと思っていたことがあります。共働きだったあの頃に読みたかった、と。

2人で稼いでいるのに、なぜかお金が残らない。なんとなくで決めた保険、なんとなくで続けているサブスク、なんとなくで先送りにしてきた老後のこと。「いつか整理しよう」と思いながら、何年も過ぎていく。そのループから抜け出すきっかけとして、こういう本って大事だなと思います。完璧じゃなくていい、少しずつでいい——という空気感が、この本にはあります。

専業主婦になってから気づいたこと

実はこの本を読んで、自分のことを振り返る時間になりました。

退職して家にいる時間が増えたはずなのに、フルタイムで働いていた頃より家がごちゃついている気がします。

時間がなかった頃は、限られた時間の中でなんとかやりくりしようと必死だったんですよね。毎日のルーティンを崩さないように動いて、無駄を省いて。「忙しいから」が、逆に整理の原動力になっていたのかもしれません。

今は「そのうちやろう」が増えた。時間があるから、今日じゃなくていいや——そのくり返しで、気づいたら散らかっている。

思い当たることは、自分にもあります。楽天の買い周りで「あと1店舗で達成なのに」と、次回でもよかったものを先に買ってしまったり。コカコーラ製品を4本買うともらえる保冷バッグが欲しくて、普段は買わないペットボトルが気づいたら山積みになっていたり。「お得だから」「もらえるから」で動いた結果、むしろ余計なお金を使っている。なんのことはない、砥石が6個になっていくのと同じしくみです。

作者が新居の収納の少なさに悩む場面で、お母さんが言うんです。「ものの定位置を決めて、使ったら戻す」「収納に入りきらないものは買わない」。これを徹底すれば、部屋は綺麗に、広く使えると。

言われてみれば、我が家も無意識にそうしてきました。最近家がゴチャついて見えるのは、値上げへの危機感からストックが普段より増えているからかも——と、自分を振り返る機会にもなりました。

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この本の著者・真船さんも、片付けが大の苦手なところからスタートしています。でも一度すっきりと家が整うと、良い循環が生まれる。必要なものの量が明確になって、無駄な買い物も減る——そう書かれていて、自分ごとのように感じました。

改めて、生活を見直してみたいなと思っています。

🤣 思わず笑った場面

ネタバレしない範囲で、笑った場面をいくつか。

  • クレジットカードのパスワードがわからなくて、明細が確認できない
  • 旦那さんが不動産オタクで、条件を言うだけで今売り出し中の物件がわかる(検索エンジンより早いらしい)
  • 寝室の扉から砥石、靴箱からトイレットペーパーが出てくる
  • 土曜日の「全力お掃除タイム」の格好(どんな格好かは、ぜひ本書で)

こんな方におすすめ

✅ 共働きなのになぜかお金が貯まらない、と感じている

✅ 住宅購入を検討していて、将来のお金が不安

✅ 子育て中で教育費のことが頭から離れない

✅ お金の本は難しそうで敬遠してきた

✅ マンガなら気軽に読めそう、という方

笑いながら、でも「ちゃんとしなきゃ」という気持ちになれる本です。

📝 まとめ

笑いながら読めるのに、「ものの把握ができない人にお金の管理はできない」という芯が一本通った一冊です。共働きの方も、専業主婦になったわたしのような人も、自分の暮らしを振り返るきっかけになります。

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