娘とドライブをしていたある日、ラジオから「しんでくれた」という言葉が聞こえてきました。
谷川俊太郎さんの詩でした。
ハンドルを握ったまま、思わず娘と顔を見合わせたのを覚えています。短い言葉なのに、心にずっしりと重く残る。何年経っても色あせない、あの衝撃は今も忘れられません。
その後、娘の音読の宿題で「詩」が取り上げられたのをきっかけに、久しぶりにこの作品のことを思い出して、絵本を手に取ってみました。
この記事では、40代ママの私が娘と一緒にこの絵本を読んで感じたこと、そして子どもたちに「命をいただく」ことをどう伝えてきたかをお話しします。
『しんでくれた』はどんな絵本?基本情報まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | しんでくれた |
| 詩 | 谷川俊太郎 |
| 絵 | 塚本やすし |
| 出版社 | 佼成出版社 |
| 発売日 | 2014年9月 |
| ページ数 | 32ページ |
| 対象年齢 | 4歳くらいから(大人にもおすすめ) |
| 読み聞かせ時間 | 約1〜2分 |
私たちの食卓に並ぶハンバーグ、焼き魚、ソーセージ。それらはすべて、生きていた命からできています。
この絵本は、その「当たり前」を真正面から突きつけてくる一冊です。谷川俊太郎さんのまっすぐな詩と、塚本やすしさんの力強い絵が、子どもにも大人にも深く刺さります。
読んで感じた3つのこと
「しんでくれた」が突きつける現実
「命をいただく」という言葉を、私たちは日常的に使います。でも、本当にその重みを感じている瞬間は、どれくらいあるでしょうか。
この絵本を読むと、食卓に並ぶ食事が「生き物の命そのもの」であることを、改めて実感させられます。忙しい毎日の中では、食事はルーティンの一部。感謝を自覚しながら食べる機会は、正直なところ少ないのではないでしょうか。
「しんだ」ではなく「ころされた」という視点
この絵本の深いところは、単に「ありがとう」で終わらないところだと思います。
食品となったうし、ぶた、にわとり、さかな。彼らはもちろん、食べられるために生きていたわけではありません。「しんだ」というより「ころされた」という表現が近いのかもしれない――そう気づいたとき、ハッとさせられます。
「しんでくれた」は人間の偽善なのか?
人間からしたら「しんでくれた」かもしれません。でも、生き物の側からしたら「しんであげた」なんて思っているはずがない。
そう考えると、この絵本は肉や魚を食べることを正当化させる、人間の偽善に満ちた作品なのかもしれません。
答えなんてないのかもしれない。でも、だからこそ「食べること」「生きること」を深く考えさせられる。それがこの絵本の力だと感じています。
🐘 動物にも「弔い」の行動がある?
ゾウ:死骸に集まり、鼻で触れて立たせようとしたり、土や葉を被せる行動が確認されている
イルカ・クジラ:死骸を口にくわえて水面に運び上げたり、群れで寄り添う行動をとることがある
ゴリラ:亡くなったパートナーのそばに長時間とどまり、深い悲しみを示すことがある
これらが「悲しみ」と呼べるかはわかりません。でも、「生き物だから命を奪って良い」と簡単には思えない――命に重い・軽いはないはずです。
子どもにどう伝える?わが家のスーパーと食卓での食育
幼い子どもたちとスーパーに行ったとき、魚売り場や精肉コーナーで私はこんなふうに話していました。
「ここにいるお魚は、水族館にいるお魚と元々は同じなんだよ。このお肉も、動物園にいる動物たちと同じだったんだよ」
世の中には弱肉強食や食物連鎖があって、生きていくために奪われる命がある。でも、人間だけが奪われないのは、ちょっとおかしい話かもしれないよね――そんなことも伝えてきました。
もちろん、誰の命も奪われてほしくはない。でも、奪って生きていく責任として、出された食事は感謝していただくこと。食べ物の廃棄はできるだけ少なくすること。
命をいただくことへの感謝を知れば、自ずと食べ物を大切にしてくれるだろう。そう信じて、日々の食卓で伝え続けています。
❌ 逆効果になりがちな伝え方
・「残したら動物がかわいそうでしょ!」と叱る
・「食べないと罰が当たるよ」と脅す
・一度だけ話して終わりにする
⭕ 子どもに響きやすい伝え方
・「この子たちのおかげでごはんが食べられるんだね」と一緒に感謝する
・スーパーの売り場で「水族館のお魚と同じだよ」と語りかける
・絵本の読み聞かせや買い物など、繰り返し触れる機会を作る
読み聞かせ前に知っておきたい注意点
この絵本は素晴らしい作品ですが、読み聞かせるかどうかは、お子さんの性格や年齢を考えて判断してほしいと思います。
📌 親御さんへのアドバイス
タイトルや表現方法のインパクトが強いので、感受性の豊かなお子さんには注意が必要です。まずは親が一読して、わが子に合うかどうかを判断してから読み聞かせるのがおすすめ。読み聞かせをためらう親御さんも実際に多く、評価が分かれる一冊でもあります。
もしお子さんがまだ小さい場合は、次にご紹介するような、よりやさしいタッチの絵本から始めてみるのも良いかもしれません。
一緒に読みたい「命の大切さ」を伝える絵本
『しんでくれた』で命について考えるきっかけができたら、ぜひこちらの絵本も手に取ってみてください。
| 絵本タイトル | 著者 | 特徴 |
|---|---|---|
| しんでくれた | 谷川俊太郎(詩)・塚本やすし(絵) | 短い詩で「命をいただく」本質を突く。読み聞かせ1〜2分。インパクト強め |
| いのちをいただく みいちゃんがお肉になる日 | 坂本義喜・内田美智子 | 食肉センター職員の実話がベース。涙なしには読めない感動作 |
| いただきます | 鹿島和夫・くもん出版 | 食べ物への感謝をやさしく伝える。小さなお子さんにも安心 |
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まとめ:答えはなくても、考え続けることに意味がある
✅ この記事のまとめ
✅ 『しんでくれた』は谷川俊太郎さんの詩による、命と食を深く考えさせる絵本
✅ 読み聞かせ時間は1〜2分。短いけれど、心にずっしり響く
✅ 「しんでくれた」は人間目線の言葉。生き物の側から見れば全く違う
✅ 親が一読してから、わが子に合うか判断するのがおすすめ
✅ スーパーの買い物や毎日の食卓が、食育の大切な場になる
だからこそ、全部残さず食べて、強く生きていかなければならない。
自分の命は、他の命を犠牲にした上で成り立つもの。命が命を繋いでいる。
毎日の「いただきます」に、少しだけ立ち止まって感謝を込めてみませんか。
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