『月収』原田ひ香|あらすじと感想|6人の女性が問いかける「幸せな収入」とは

読書|本の感想

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ほわわんとした女性のイラストと、「月収」という肉厚で鋭いタイトルに惹かれ、
思わず手に取りました。

著者は『三千円の使いかた』で有名な、原田ひ香さん。

本書『月収』は、
6人の女性を主人公にしたオムニバス形式の小説です。

月収も、年齢も、立場もまったく異なる女性たちが、それぞれの人生とお金に向き合っていきます。

この記事では、
・原田ひ香『月収』のあらすじ
・月収の異なる6人の女性たちの生き方
・お金と幸せについて感じたこと
を中心に紹介しています。

ネタバレを控えつつ、読んで感じたことをまとめました。

💡 作品の基本情報

  • 著者:原田ひ香
  • 刊行:2025年2月(中央公論新社)
  • 形式:単行本/全6編のオムニバス
  • テーマ:「月収」が違う6人の女性の人生とお金
  • 著者の代表作:『三千円の使いかた』(ドラマ化されたベストセラー)、『ランチ酒』シリーズなど

📖 『月収』原田ひ香のあらすじ

物語に登場するのは、以下の6人の女性たち。

月収4万円|年金暮らしの乙部響子(66歳)
(ガツガツ働きたくはないが、貯金を取り崩す生活に不安を抱えている)

月収8万円|専業小説家志望の大島成美(31歳)
(派遣社員として働きながら、不動産投資で安定収入を目指す)

月収10万円|FIREを目指す滝沢明海(29歳)
(将来の介護に備え、新NISAでコツコツ資産運用)

月収100万円|パパ活女子の瑠璃葵(26歳)
(20代で1億円が目標)

月収300万円|資産家の鈴木菊子(52歳)
(相続した資産と株式投資で、使い切れないほどの収入がある)

月収17万円|起業家志望・介護士の斉藤静枝(22歳)
(生前整理の事業を立ち上げ、収入アップを目指す)

一目でわかる|6人の女性「月収」比較表

月収名前年齢立場・生き方
4万円乙部響子66歳年金暮らし。働きたくないが貯金取り崩しに不安
8万円大島成美31歳専業小説家志望。派遣+不動産投資で安定を狙う
10万円滝沢明海29歳FIREを目指す。新NISAで資産運用中
17万円斉藤静枝22歳介護士。生前整理で起業を目指す
100万円瑠璃葵26歳パパ活女子。20代で1億円が目標
300万円鈴木菊子52歳資産家。相続+株式投資で使い切れない収入

年齢も立場もまったく違う6人。それぞれの「月収」が、人生そのものにどう跳ね返ってくるのか——読みながら自分の家計と重ねずにはいられませんでした。

🔍 6人の女性たちの生き方(月収4万円〜300万円)

6人の物語は、それぞれ「月収」という切り口から、まったく違う人生を照らし出します。

少しずつリンクしていて、「次はどう関わってくるのだろう?」と考えながら読み進めるのも楽しみのひとつでした。

月収4万円|乙部響子(66歳)

年金暮らしの響子さんは、「ガツガツ働きたくはない」という気持ちと、「でも貯金が減っていく不安」の間で揺れています。

定年後のリアルな生活感、老後のお金への不安が丁寧に描かれていて、読みながら「将来のわたしはどうなるんだろう」とぼんやり考えてしまいました。

今でさえ子どもの教育費のことが頭を離れないのに、さらにその先の老後まで——と少し落ち込みながら読んだ章でもあります。それと同時に、自分なりの心地いい働き方をちゃんと模索していこう、という気持ちにもなれました。

月収8万円|大島成美(31歳)

専業小説家を夢見ながら、派遣社員として働く成美さん。「好きなことで生きたい」という気持ちと、安定した収入への現実的な焦りを抱えています。

「夢を追いながら、生活も守らなければ」という葛藤は、多くの女性の心に刺さるのではないかと思います。

月収10万円|滝沢明海(29歳)

FIREを目指して新NISAを活用し、将来に備えてコツコツ動いている明海さん。29歳でここまで先を考えているのかと、少し圧倒されました。

「老後が漠然と不安」という気持ちを、具体的な行動に変えようとしている人が読むと、背中を押してもらえるような章です。

月収17万円|斉藤静枝(22歳)

介護士として働きながら、「生前整理」という事業の立ち上げを目指す静枝さん。数字だけ見ると月収は低い方ですが、6人の中で一番エネルギーに満ちているかもしれません。

22歳でこれだけ考えて動いている彼女を読んで、ふと自分の22歳を思い出しました。

新卒で入った会社は建設業の運輸部門。強面のおじさま方(中身はみなさんとても気のいい方でしたが)に囲まれて、最初はかなり怯えていた記憶があります。父が公務員だったこともあって、現場で働くような方々と関わるのは初めての経験でした。仕事を覚えることに必死で、ただその日を乗り越えることで精一杯。今思えば、実家から通っていたし、ずいぶん甘えていたなと思います。

静枝さんのように「起業しよう」なんて気持ちは欠片もなかった。それだけに、彼女のエネルギーが眩しく見えます。

月収100万円|瑠璃葵(26歳)

20代で1億円を目標にするパパ活女子の葵さん。月収100万円という数字は魅力的に聞こえますが、読み進めるうちに「お金があっても埋められない孤独」が静かに見えてきます。

「お金があれば幸せ」ではないことが、いちばん鮮明に描かれているのがこの章かもしれません。

月収300万円|鈴木菊子(52歳)

相続した資産と株式投資で、使い切れないほどの月収を持つ菊子さん。お金の心配とは無縁に見えますが、豊かな生活の裏側にある「それでも満たされないもの」が、静かに浮き上がってきます。

正直、この章が一番想像の外にいる人物でした。それだけに、読み終えたときの余韻が深かったです。

『月収』を読んで感じたこと(感想)

正直、月収100万円や300万円の生活は想像がつかず、読み始める前は「これだけあれば大抵の悩みは解決するのでは?」と思っていました。

けれど読み進めるうちに、必ずしも「お金がある=幸せ」ではないという現実が、静かに胸に迫ってきます。

お金だけでは埋められない孤独。
誰にも頼れない不安。

どんな月収であっても、人はそれぞれの悩みを抱えて生きているのだと感じました。

すずらん
すずらん
今のわたしが一番不安なのは子どもの教育費。でも、その先の老後のことも考えなきゃいけないんだよな…と、この本を読んでじわじわ気づかされました。落ち込みつつも、自分に合った働き方をちゃんと探そうと思えた1冊です。

お金があっても幸せとは限らない理由

物語の中には、

  • インボイス制度
  • 新NISA
  • ふるさと納税
  • 生前整理

など、言葉は知っているけれど、きちんと理解できていない(わたしにとっては)制度や仕組みも登場します。

同時に、

  • 離婚
  • 不倫
  • 復縁
  • 介護

といった、いつ自分の身に起きてもおかしくない問題も描かれています。

人生は、お金だけではコントロールできない。だからこそ、どう生きるかを選び続ける必要があるのだと感じました。

📚 『月収』はこんな人におすすめ

  • ✅ 自分にとっての「ちょうどいい収入」を考えたい人
  • ✅ お金と幸せの関係にモヤモヤしている人
  • ✅ 老後や将来に不安を感じている人
  • ✅ 読みやすい小説で考えるきっかけが欲しい人
  • ✅ あまり読書が得意でない方でも、スッと読み進められます

あまり読書が得意ではない…という方でも、スッと読み進められる文章です。

自分にとっての「幸せな月収」とは?

「いくら稼ぐか?」「どう生きたいか?」

収入がないと生きていけない現実から、目を逸らしたくなることもあります。

それでも、『月収』は自分にとっての幸せな生き方を静かに問いかけてくれる一冊でした。

今の自分には耳が痛い内容でもあり、同時に背中を押してくれるような本。

自分に問いかけながら、少しずつ前に進みたい人に、ぜひ読んでほしい作品です。

📝 まとめ

  • 月収4万〜300万円、まったく違う6人の女性のオムニバス小説
  • お金の多さと幸せは比例しないことが、静かに伝わってくる
  • インボイス・NISA・生前整理など、今の時代のリアルが随所に盛り込まれている
  • サクサク読めて、でも読み終えた後じわじわ考えさせられる1冊

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