歌舞伎に興味がなかった私が一気読み。吉田修一「国宝」の感想【ネタバレなし】

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映画の評判がとにかく高くて、ずっと気になっていました。
忙しかった頃はなかなか本を読む時間がとれなかったけれど、専業主婦になってやっと手に取ることができた一冊が、吉田修一さんの「国宝」です。
上下巻合わせてかなりのボリューム。それでも気づいたら読み切っていました。

映画が話題でも、まずは本から読んでみた

きっかけは正直ミーハーで(笑)大好きなYouTuberさんが絶賛しているのを見て、この人が言うなら間違いないだろうと思って手に取りました。

映画「国宝」は、役者陣の渾身の演技と映像美への評価がものすごく高くて、ずっと気になっていた作品でした。
口コミを見ていたら、歌舞伎のシーンを客席目線だけでは撮っていないとあって。客席から、役者の目線から、舞台袖からの映像で、主人公たちの緊張や不安、高揚感まで映像で描かれているらしく、それは絶対に映像で観たいと思いました。

でも田舎に住んでいるわたしは映画館まで片道約1時間かかるのでなかなか行けなくて……。それならまず原作を読んでみようと手に取ったのがきっかけです。

上下巻合わせてかなりのボリューム。読み始める前は「読み切れるかな?」と少し不安もありました。でも結果的には、あっという間に読み終わっていました。

💡 作品の基本情報

  • 著者:吉田修一
  • 刊行:2018年9月7日(朝日新聞出版)
  • 構成:上下巻(上「青春篇」/下「花道篇」)
  • 初出:朝日新聞連載(2017年1月1日〜2018年5月29日)
  • 受賞:第69回 芸術選奨文部科学大臣賞、第14回 中央公論文芸賞
  • 書籍売上:累計130万部突破
  • 映画化:2025年6月6日公開(李相日監督)/観客動員500万人超のヒット
  • 執筆背景:著者が中村鴈治郎氏の協力のもと、3年間の「黒衣」取材を行って書き上げた一作

出典:Wikipedia朝日新聞社プレスリリース映画『国宝』公式サイト

どんな物語?(国宝のあらすじ・ネタバレなし)

任侠の一門に生まれた少年・喜久雄が、ひょんなことから上方歌舞伎の名門に引き取られ、芸の道に人生を捧げていく物語です。

喜久雄と、引き取られた家の跡取り息子・俊介。生い立ちも性格も違う二人が、親友として、ライバルとして、ともに歌舞伎の世界で成長していきます。

華やかな舞台の裏側にある人間ドラマ、喜びも絶望も、すべてが詰まった壮大な一代記です。

歌舞伎を知らなくても大丈夫だった

正直に言うと、歌舞伎にはほとんど縁がなかったわたし。観たこともないし、難しそうというイメージしかありませんでした。

でも読み始めたら、そんな心配は不要でした。舞台の場面がリアルに想像できるくらい描写が鮮やかで、気づいたら歌舞伎の世界にすっかり引き込まれていました。

歌舞伎を知らないわたしが読んでも、文字の描写だけで迫力や美しさが伝わってくる。本の中の主人公が命を削って捧げる踊り……それが映像になったらどれだけ壮大な世界が描かれるんだろう、と読みながらずっと気になっていました。

むしろ読み終えたあと、「本物の歌舞伎を一度見てみたい」と思ったくらいです。

「歌舞伎、難しそう……」と思っている方へ

難しい知識はいっさい不要でした。
文章を読んでいるだけで舞台の空気が伝わってきて、気づいたら物語の世界に入り込んでいます。
歌舞伎が好きな方はもちろん、まったく縁がなかった方にも自信を持っておすすめできる一冊です。

人生を捧げることの凄さと残酷さ

この本を読んで一番心に残ったのは、人生を余すことなく生き抜く人間の凄さでした。そして、「運」を自らの手で摑み取るための覚悟と、たゆまぬ努力。読みながら、何度も鳥肌が立ちました。

歌舞伎の世界は、血筋や世襲が重んじられる世界です。そんな閉じた世界で頂点を目指すためには、想像を絶する覚悟と忍耐が必要で、とても常人には考えられないだろうと感じました。

喜久雄も俊介も、歌舞伎に生きることを選んでいます。表面に見える華やかな舞台の裏側は、実はとても恐ろしい世界。その生々しさが全編を通じて伝わってきて、美しいけれど、同時に痛くて苦しい。

日常の中でそこまで打ち込めるものがある人への憧れと、でもそれが人を深く傷つけることもあるという現実と。読みながら、いろんな感情が混ざり合いました。

美しいけれど、残酷な世界。
でもその「残酷さ」が、この物語をただの感動ストーリーに終わらせていない。
読み終えても、ずっと頭から離れませんでした。

ボリュームがあるのに、あっという間に読み終えてしまったのは、そういう物語の力だと思います。

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原作を読んでから映画を観るということ

読み終えてから、YouTubeで歌舞伎の映像をいくつか見てみました。でも正直、そこまで刺さらなくて。物語の中でキャラクターの過去や葛藤、愛や憎しみ……すべての背景を知った上で観るのとは、やっぱり感じ方が違うのかなと思いました。

また、小説では重要な役割を担うキャラクターが、映画では尺の都合でほとんど登場しないようで……800ページ超を3時間に収めるんだから仕方ないとは思いつつ、原作を読んでいたから余計に寂しく感じるかもしれません。

📖 原作を読むなら

  • キャラクターの生い立ち・葛藤が深掘りされている
  • 全員の視点で物語を追える
  • 時間を気にせず自分のペースで世界に浸れる
  • 800ページ超の「重さ」が逆に没入感になる

🎥 映画を観るなら

  • 客席・役者目線・舞台袖、3つのアングルで歌舞伎を体感できる
  • 役者陣の演技・衣装・音楽をリアルに味わえる
  • 原作を読んでいればさらに感動が深まる

歌舞伎という伝統芸能の華々しさと闇の部分が映像でどう表現されているのかは、やっぱり気になっています。原作を読んでから観ると、きっとまた違う感動があるはず。

こんな人におすすめ

あなたは当てはまりますか?

  • ☑ 映画「国宝」を観る前に原作の世界観を知りたい
  • ☑ 映画「国宝」が気になっているけどまだ観ていない
  • ☑ 歌舞伎に興味はなかったけど人間ドラマが好き
  • ☑ 何かに打ち込む人の物語が好き
  • ☑ ボリュームのある小説をじっくり読みたい
  • ☑ 吉田修一さんの他作品(「悪人」など)が好き

歌舞伎の知識がなくても十分楽しめます。むしろ知らないほうが、真っさらな気持ちで物語に入れるかもしれません。

まとめ

専業主婦になって、やっとゆっくり本を読める時間ができました。その時間に読めてよかった一冊です。

人生を懸けて何かに向き合う人間の姿が、リアルに、時に残酷に描かれていて。読み終えたあとしばらく余韻が続きました。

映画もいつか観てみたいと思っています。原作を読んでから観るのも、きっと楽しいはず。

気になっている方はぜひ。上下巻セットで購入すると便利ですよ。

📌 この記事のまとめ

  • 歌舞伎の知識ゼロでも、圧倒的な描写力で引き込まれる
  • 任侠出身の喜久雄と名門の俊介、二人の成長と葛藤がとにかく濃い
  • 美しいけれど残酷な世界。読後の余韻がずっと続く
  • 映画を観る前・後どちらで読んでも楽しめる
  • 上下巻合わせてもあっという間に読み終わってしまう吸引力がある

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